アートメイクの現在-2 最高裁の「タトゥー施術 医師法違反容疑無罪判決」以後

2025.06.02

 

最高裁の「タトゥー施術 医師法違反容疑無罪判決」以後

 

 

一般社団法人国際タトゥーアーティスト協会が誕生

 

アートメイクと呼ばずタトゥーアーティストの根拠、美容師の国家資格保持者に「インクメイク」を提唱

 

2023 年、一般社団法人国際タトゥーアーティスト協会(代表理事:宮本恵介)が設立され、話題となっている。

 

同協会は、美容師国家資格保持者を対象に「インクメイク(タトゥーを使ったメイク)」を提唱し、それに係る専門講習の実施や資格の発行を通じて、美容師の職域を守り、さらに拡張することを目的として活動を推進している。

 

日本において美容師国家資格保持者が実践可能な「インクメイク(タトゥーを使ったメイク)」のモデル化を確立し、国際SDGsの理念に基づくタトゥーアーティストの資格認定事業を展開。その活動の普及に力を入れている。

 

同協会が定義する「インクメイク」とは、「医療アートメイクと混同されがちだが、施術方法は類似していても、その目的、施術者、法律上の位置づけには明確な違いがある。医師のみが行えるものを『医療アートメイク』、美容師のみが行えるものを『インクメイク』と区別する」としている。

 

また法律的観点からは、「インクメイクは美容師法に基づき、美容師資格を有する施術者が提供するサービスであり、医療行為には該当しません。一方、医療アートメイクは医師法に準拠しており、医師免許のない者が行うことは違法とされている。この違いは、施術を受ける場所やプロセスにも反映されており、インクメイクは美容サロンで、アートメイクは医療機関(クリニック等)で実施される」と説明している。(以上、同協会ホームページより)

 

ちなみに、同協会が美容師資格保持者向けに実施している「インクメイク講習」は、実技講習3日間・計18時間とオンライン座学で構成されており、受講料は教材セット込みで52万8千円。講師は経験豊富な現役アーティストが務め、使用機器は、製造国において医療機器製造許可証を取得しているメーカー製のもの(医療機器製造および品質管理基準を満たすもの)を使用している。

 

同協会では、美容師資格保持者がタトゥーアーティストとして「インクメイク(色素を皮膚に入れる施術)」をサロンメニューに導入できるよう、技術指導・知識教育・資格認定などの事業を展開しており、まさに、タトゥー施術の医師法違反容疑に対する無罪判決を受けたことを契機とした動きと言える。

 

美容師資格保持者が、18 時間の実技講習とオンライン座学でプロフェッショナルなタトゥーアーティストとして合法的に活動可能なのか――さまざまな意見が出ることは想像に難くないが、今後、美容師業界団体や厚生労働省がどのような対応を取るかにも注目が集まる。

 

アートメイクの現在-3 に続く

 
【転載・引用について】
転載・引用をご希望の場合は、下記のルールを遵守のうえお願いいたします。

■ 引用の場合
記事内容の一部を紹介される際は、必ず「エステティックジャーナル」および該当記事のタイトル・URLを明記してください。
例:出典:「エステティックジャーナル」https://〜

■ 転載・二次利用の場合
事前に編集部までご連絡ください。内容の趣旨や文意を損なう編集・改変はご遠慮ください。
なお、掲載媒体の性質・内容により、転載をお断りする場合がございます。あらかじめご了承ください。