最悪の結末になる恐れの「ミュゼプラチナム」
運営会社のMPHに元従業員らが破産申し立て
未払い給料15億円負債総額は300億円超か!
脱毛専門サロン業界最大手の「ミュゼプラチナム」が、最悪の結末を迎える恐れとなってきた。
ミュゼプラチナムの元従業員ら10名は、5月16日、東京地方裁判所に破産申し立てを行った。破産申し立てをされたのは、ミュゼプラチナムの運営会社である、MPH株式会社(東京都大田区蒲田・高橋英樹代表取締役)で、もし、破産開始と判断された場合は、従業員の未払い給与だけで約15億円。負債総額は300億円を超えるとみられている。
その内、お客様への施術残金額は200億円にのぼると東京商工リサーリが試算しており、業界全体が被る悪影響も取り返しのつかない事態となりそうだ。
東京地裁に破産申し立てを行った元従業員らと代理人弁護士は、その後、東京霞が関の司法記者クラブで会見を行い、「今年1月からの給料未払い」、「全従業員への退社勧奨」、「全ての店舗の休業」、「使用していた機器などを別法人に使わせるなどの財産毀損の恐れ」、「まだ全国に2千人以上の従業員がいて、絶対に放置できない」、「資産の流出を防ぐ」などの理由を挙げ、怒りをあらわにして、破産管財人による債務調査の必要性を述べた。
業界最大手にして大迷走を続ける
ミュゼプラチナムのこれまでの軌跡
ミュゼの拡大と失速
「ミュゼプラチナム」は、2002年8月、創業者の高橋仁氏が「ジンコーポレーション」として設立した美容脱毛専門サロンで、追加なし、店販なし、低価格キャンペーンなどの積極的な広告展開により急拡大した。2014年8月期には、売上高約387億円、最終利益約11億円を計上して、業界最大手の脱毛専門サロンに成長した。オーナーの高橋仁氏は、高級車をはじめ、競走馬を十数頭所有するなどのセレブ生活が紹介され、脱毛サロン事業は儲かる事業として注目された。
ところが、最高売り上げをあげたにもかかわらず、それからすぐに店舗拡大ペースが鈍化して売り上げが減少、運転資金まで不足する事態となった。その理由を「夏に向けての広告戦略が失敗して業績が悪化した」と説明していたが、2015年8月期の決算では、52億円の赤字となり、一気に倒産危機へと陥った。
広告キャンペーン等で、脱毛サロンのキャパを超える集客を行い、お客様から前受け金を預かり、予約が取れない状態になったら、次のサロンをオープンして拡大していくという手法は、必ず限界があるが、それが突然表面化し、収拾不能な状況に追い込まれた。
倒産するであろうと思われていたミュゼプラチナムは、2025年12月、脱毛事業を新運営会社として設立された株式会社ミュゼプラチナムに譲渡し生き残りを図る。そのミュゼに、M&Aなどを手掛ける、東証スタンダード上場の株式会社RVHが支援に乗り出し、100%子会社として脱毛事業の再建が開始された。
株式会社RVHの子会社として再出発したミュゼプラチナムは、一時的に業績が回復したが、脱毛事業同業者の競争激化、集客のための広告費などの負担が重なり、2019年には再び赤字に転落、事業継続に黄信号がともることになる。
2020年以降の再建と迷走
2020年、ミュゼプラチナムは、高野友梨氏が筆頭株主になっているGPホールディングの子会社となって事業が継続されることになる。しかし、その業績は回復することなく赤字体制が続いた。
そんな中、2023年4月、大型テレビやAV機器メーカーとして有名な船井電機ホールディングがミュゼプラチナム全店を買収し傘下に収める。しかし、その船井電機は、一年後の2024年4月、ミュゼの事業を、割り引きクーポンサービス「Cポン」を運営するKOC・JAPAN株式会社に売却。そこから、異例とも言える迷走が始まる。
ミュゼは、そのKOC・JAPANから、ミュゼプラチナムの脱毛事業権利が、株式会社MITに移り、会社分割され、株式会社ミュゼプラチナムに事業譲渡、また会社分割され、MPH株式会社が設立され事業譲渡されるといった複雑な経路をたどり、サロン運営だけが継続されるといった不可解な状況になって行く。
そのMPH株式会社の代表取締役になったのが三原孔明氏(株式会社レナード代表取締役)で、そこから、大島正人氏(株式会社フォーサイド代表取締役、株式会社エストラボ前会長)、高橋英樹氏(現MPH株式会社代表取締役、グローバルブリッジファンド合同会社)が登場してくる。
今、ミュゼプラチナムの運営会社は、MPH株式会社となっているが、昨年末頃から給与支払いの遅延が始まり、今年1月以降は給与未払いに加えて、社会保険料等の未納が発生。3月下旬には全店舗が休業し、全従業員に退職勧奨がなされるという、絶体絶命の状態が続いている。その一連の騒動は、「アクセスジャーナル」をはじめ、「東京商工リサーチ」、「週刊文春」、新聞、テレビ等でも大きく報道されている。
別法人の「どこでもミュゼプラチナム株式会社」
フランチャイズなどを募り施術の継続と豪語
今回のミュゼプラチナムの破産申し立てについて、MPH株式会社の高橋英樹代表は「真摯に受け止め、引き続き事業再生に向けて邁進する」とコメントしている。
再生の手段としては、別法人の「どこでもミュゼプラチナム株式会社」を設立し、フランチャイズ加盟店と業務委託契約を締結し、新サービスの「どこでもMUSEE」を通じて、これまでの会員の施術を継続していきたいとしている。その加盟店は、4月24日時点で、全国285店舗の加盟店が確定したと発表しているが、公表された加盟店一覧ページを見ると、住所表記があいまいで、信ぴょう性に疑問が残る状態である。
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