ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子の『データで見る美容業界』‐6
2026年は男性美容が日常化!?
美容センサス2025年下期から読み解くエステ市場へのヒント
2026年がスタートし、サロン経営においても「今年はどんな変化が来るのか」を考え始めている方が多いのではないでしょうか。
昨年12月にホットペッパービューティーアカデミーから発表した美容センサス2025年下期をひも解くと、ここ数年続いてきた美容トレンドの延長線に男性美容の“日常化”が見えてきました。
脱毛やスキンケアはもちろん、メイクや美容医療までもが、「特別なこと」ではなくなりつつあります。今回は、そんな男性美容の最新データを軸に、2026年のエステ市場へのヒントを読み解いていきます。

文・作表 田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
≪目次≫
1. 20代男性の美容意識がここまで来た!
2.男性の美容医療利用が増加中。エステとの棲み分けは?
3.男性の「痩身」ニーズが示す可能性
4.データから見えた男性の「伴走ニーズ」
5.値上げがあっても通いたい?男性にとってのエステの位置づけ
6.男性美容の“日常化”が示す、これからのエステ市場
1. 20代男性の美容意識がここまで来た!
美容センサス2025年下期で、まず注目したいのが20代男性の美容行動の変化です。
調査からは、20代男性のメイクアイテム購入率は34.8%。過去最高水準となっています。
<20代男性の1年以内・メイクアイテム購入率>

男性メイクは、かつては「一部の意識が高い層」のものだと思われていたかもしれません。ところが、今では身だしなみや自己管理の一部として、一般化してきている印象です。
これはエステサロンにとっても、チャンスにつながります。
「男性は美容に消極的」という前提自体がすでに古くなりつつあり、男性が肌を整える、清潔感を保つ、印象を良くする…こうしたニーズは、確実に男性の中でも“普通”になり始めています。
2. 男性の美容医療利用が増加中。エステとの棲み分けは?
もうひとつ注目したいのが、男性の美容医療利用率です。美容センサスでは、20代男性の「過去1年以内の美容医療利用率」が22.8%と、同じ年代の女性を上回る結果が出ています。

とはいえ、多くの男性にとって美容医療は、「興味はあるけれど、少しハードルが高い存在」であるでしょう。
ここで改めて浮かび上がるのが、エステサロンの立ち位置です。即効性や治療を担う医療に対し、「施術の気軽さ」「定期的なメンテナンス」「心身のリラックス」といった“日常に組み込みやすい美容”を提供できるのがエステではないでしょうか?
またエステティシャンによる「提案力」は「美容にそれほど詳しくない」と不安な男性の方には心強いサポートになるでしょう。こうしたポジションに、今後エステの重要な役割がありそうです。
3. 男性の「痩身」ニーズが示す可能性
「3年以内に利用した美容医療(トップ10)」のデータを見ると、男女差がはっきり表れている点があります。


※1 「二重の整形(切開)」「二重の整形(埋没法)」の合算
※2 「痩身(体)」「メディカルダイエット」の合算
対象:1年以内の「美容内科・美容皮膚科」「美容外科」の3年以内利用者
女性では「二重の整形」が増加している一方、男性では「ホクロ除去・あざやイボの治療・傷跡治療」「痩身」「目の下のクマ・たるみ取り」といった施術が前年から増加しています。
特に注目したいのは、「痩身」が男性のみトップ10にランクインしている点です。男性の美容意識が「肌トラブル対処」だけではなく、「体型や印象を含めたトータルメンテナンス」へと広がっていることがうかがえます。
医療による痩身は確かに選択肢のひとつですが、継続的な体型管理や生活習慣へのアプローチは、エステの得意分野でもあります。「継続して整え続ける」というニーズに、エステもしっかり応えられるのではないでしょうか。
4. ジムのデータから見えた男性の「伴走ニーズ」
もうひとつ、男性の行動変化を象徴するデータがあります。
それが、ジムにおける「マンツーマン指導」の利用率です。

美容センサス2025年下期では、1年以内の20代男性のマンツーマン指導利用率は15.4%。
前年の10.5%から大きく伸びています。男性は、「自己流」よりも「プロと一緒に進む安心感」を求めていると考えられます。
これは、エステティシャンの役割と非常に相性が良いポイントでしょう。施術だけでなく、「状態を一緒に確認する」「変化を言葉で伝える」「次のゴールを提示する」こうした伴走型の関わりは、男性顧客の満足度を高めやすい要素です。
男性美容が日常化する今、エステティシャンは「施術者」から“美容のパートナー”へと役割を広げていけそうです。
5. 値上げがあっても通いたい?男性にとってのエステの位置づけ
物価高が続く中で、「美容は真っ先に削られるのでは?」と感じている方もいるかもしれません。
しかし、美容センサス2025年下期の「値上げがあっても利用したいと思う施設」のデータを見ると、男性にとってのエステサロンの位置づけは、想像以上に安定していることが分かります。
<値上げがあっても、利用したいと思う施設>

※回答者数が30サンプル以下のもの(灰色グラフ)は参考数値として取り扱う
男性全体では、57.4%が「値上げされてもエステサロンを利用したい」と回答。
年代別に見ても、20代男性:58.2%、40代男性:59.5%、と、多くの年代で半数以上が利用継続に前向きな姿勢を示しています。
価格が上がっても通いたいと感じる背景には、
• 自分ではケアしきれない部分を任せられる
• 定期的に状態をチェックしてもらえる
• 清潔感や印象を維持できる
といった、日常生活に直結する価値があるでしょう。男性がエステサロンに求めているのは、単なる「ご褒美」ではなく、続ける意味が分かる場所であること。
男性美容が日常化する今、価格以上の納得感をどう伝えるかが、継続利用の鍵になっていきそうです。
6. 男性美容の“日常化”が示す、これからのエステ市場
ここまでのデータから見えてくるのは、男性美容が一時的なブームではなく、生活の中に定着し始めているという事実です。顔だけでなく体も整えたいというメンテナンス意識の高まり、一人で悩むよりプロと進みたいという伴走ニーズ、そして値上げがあっても「通い続けたい」と感じる価格への耐性。
これらが同時に表れている点は、非常に象徴的と言えるでしょう。2026年は、「男性が無理なく、納得しながら、美容を続けられる場所」としてのエステサロンが、これまで以上に存在感を高めていく一年になりそうです。
男性美容を“新規集客のネタ”としてではなく、生活メンテナンス市場としてどう育てていくか。
その視点こそが、これからのサロン経営のヒントになっていきそうです。
【データ出典】
ホットペッパービューティーアカデミー
「美容センサス2025年下期」
• 調査発表日:2025年12月11日(木)
調査期間:2025年8月4日(月)~ 8月18日(月)
調査対象:全国、人口20万人以上の都市に居住する15~69歳の男女1万3,200人
調査手法:Webアンケート調査
調査URL:
https://hba.beauty.hotpepper.jp/search/search_cat/census/#tab-second
<寄稿>
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
外資系コンサルティングファームを経て、リクルート入社。2012年よりホットペッパービューティーのマーケティング・企画領域に携わり、現在はホットペッパービューティーアカデミー研究員として、美容に関する消費者行動の調査・分析、業界への提言を行っている。
これまでに発表してきた美容業界の調査は200本以上。数字に裏打ちされた洞察力と、現場やメディアでもわかりやすく語れる伝える力に定評がある。業界誌・一般誌・テレビなどメディア取材多数。セミナー登壇や研修講師としても活動中。
プライベートでは小学生2人の母。学校PTAの活動にも全力で取り組み中(2024年度、2025年度 PTA会長)。
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