草野由美子の 『エステサロン お役立ちコラム』‐2
悩み解消”から“体験価値”へ──お客様の心に残るサロンとは?
「結果は出たはずなのに、なぜ来られなくなってしまったのだろう?」皆さんは、そんな経験はありませんか?
シミが薄くなった。サイズがダウンした。肌の調子が整った。お客様自身も「満足」と言ってくれていたはずなのに、次の予約が入らない。今のエステティックサロンでは、お悩みが解決したら卒業されるのはよくあることです。
今は、美容医療やセルフエステ、家庭用美容機器など、“悩みを解決する手段”が豊富にあります。お客様が「悩みを解消したい」だけなら、エステティックサロンを選ばなくても済んでしまう時代なのですね。
技術力も、商品力も、価格の安さも、今やどこでも手に入る。だからこそ、サロン側が「悩み解消だけを提供している限り」、お客様との関係は一時的なものになってしまいます。
人は“感情の記憶”に動かされる
では、どうすればまた来たいと思ってもらえるのか?その答えは、「施術の結果」だけではなく、+αの「感情の記憶」にあります。
・あなたと話してホッとした
・ちゃんと話を聴いてくれて嬉しかった
・自分では気づかなかった良さに気づかせてくれた
・この時間があるから、また明日からも頑張れる
こうした“体験価値”は、心の奥に残ります。そして、「また来たい」は、「あの人に会いたい」「あの場所に戻りたい」という気持ちと一体になっています。
“体験価値”をつくる3つの視点
① 表面的な悩みの奥にある本音を聴くカウンセリング
多くのお客様は、「自分でも気づいていないお悩み」を抱えてサロンにいらっしゃいます。
例えば、「太ったこと」や「シミが増えたこと」ではなく、その背景にある「自己肯定感の低下」や「年齢による変化への不安」などが本音かもしれません。
だからこそ、エステティシャンが答えを押しつけず、お客様のお話にじっくり耳を傾ける“来談者中心の姿勢”が何よりも大切なのです。
サロンが「話を聴いてもらえる場所」になったとき、そこに安心感と信頼が芽生えます。
② 空間と時間で、“非日常”を届ける
技術だけでなく、五感に残る空間づくりも体験価値の一部です。
例えば、照明のやわらかさ、タオルのぬくもり、香りや音楽、そして施術後の何気ない一言…。日常では味わえない“心が整う時間”は、他には代えがたい価値になります。
③ “人”として選ばれる接客を意識する
商品やコースの内容で選ばれる時代は終わりつつあります。
これからは「この人に会いたいから」という理由で選ばれるサロンが増えていきます。「何を売るか」ではなく、「どんな人として在るか」。それが、サロンの価値そのものになるのです。
“応援者”としてのファン戦略
最近では「お客様をファンにする」という言葉もよく聞くようになりましたね。でも私は、逆だと思っています。「お客様を自分のファンにする」のではなく、「私たちが、お客様の最大のファンになる」こと。つまり、お客様の人生を誰よりも応援する存在になることです。
体型の変化、年齢の節目、仕事や家族のことで揺らぐ時も、「あなたの味方であり続ける」サロンでありたい。そう思って寄り添い続けることで、お客様も「ここが私の安らげる場所」と思ってくださるようになります。
私は、それが本当の“ファンづくり”だと思っています。
信頼を“見える形”にしていく
もうひとつ、サロンの規模に関わらず、これからのサロンにとって大切なのは、「信頼の見える化」です。
エステティックサロン認証制度や、2026年発表予定の「エステティックJIS」は、サロンの安全性・教育体制・衛生管理・顧客対応などを第三者が評価する仕組みです。
これらを取得することで、お客様に下記のようなメリットが広がります。
・安心して紹介できるサロンになる
・企業や自治体との連携が可能になる
・高価格帯のメニューへの信頼性が高まる
見える信頼は、お客様への安心の証であり、社会との新たな接点にもなるのです。
これからは「会いたい人がいるサロン」へ
お悩みを解決するサロンから、「誰かに会いたくて足を運ぶ場所」へ。あなたのサロンが、お客様の “優しい時間” の一部になりますように。
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