「ミュゼプラチナム」運営のMPH㈱が破産開始決定!負債総額約260億円、債権者約20万人で過去最大に

2025.08.20 New

 

「ミュゼプラチナム」運営のMPH㈱が破産開始決定!負債総額約260億円、債権者約20万人で過去最大に

 

「ミュゼ」ブランドの事業は継続される不可解さと驚き

 

業界最大手の脱毛専門サロンだった「ミュゼプラチナム」の運営会社であるMPH株式会社(高橋英樹元代表取締役)が、2025年8月18日、東京地裁より破産手続開始決定を受け、倒産が確定した。破産管財人は、島田敏雄弁護士(LM虎ノ門法律事務所)が選任された。

MPH㈱に関しては、5月16日、ミュゼプラチナムの元従業員などが東京地裁に破産申し立てを行っていた。一方、MPH㈱は、6月2日、株主総会で解散を決議し、通常清算もしくは特別清算を目指していた。そうした中、東京地裁が、破産申し立てに関する審尋期日を7月25日に終了し、8月18日に破産手続開始決定を下した。

東京商工リサーチや帝国データバンク等によると、MPH㈱の負債総額は約260億円、債権者は約20万人で、有償回数契約が残っている顧客約124万2370名に対して、未消化金額合計は約124億2100万円とされている。給料未払いなどの対象となっている元従業員は約2500名で、その負債は約21億円以上とみられている。

ミュゼプラチナムの元従業員などが東京地裁に破産申し立てを行ってから、3カ月以上経過しての破産手続開始決定であったが、元従業員たちにとっては、給料の遅延や未払いが昨年11月頃から続いており、もはや我慢の限界となっていた。いつまでも待ってはいられないし、絶対に諦められない。裁判所からの破産開始決定によって、政府の「未払賃金立替制度」が適用され、支払ってもらいたいところだが、それも不透明である。

MPH株式会社の高橋英樹元代表取締役は、「会社に資産が残っていないので、未払い給料などは払えない。未払賃金立替制度を使って支払いを受けてほしい」などとマスコミのインタビューで語っているが、あまりにも無責任で道徳に反する発言である。

 

 

8月1日付で「ミュゼ・メディア・HD株式会社」設立、「ミュゼ」ブランドのサロン・コスメ事業等を継続!代表は高橋英樹氏(破産したMPH株式会社の元社長)

 

破産が決定したMPH株式会社の元代表取締役社長の高橋英樹氏は、2025年8月1日、「ミュゼ・メディア・HD株式会社(高橋英樹代表取締役)」を設立したと発表した。

これまで「ミュゼプラチナム」や「ミュゼ」ブランドの事業展開の権利は、今回破産したMPH株式会社が有していたはずだが、いつの間にかその権利が、新設分割され、グローバルブリッジファンド合同会社に移されていた。グローバルブリッジファンドは、高橋英樹氏が運営しているグループ会社の中核となる投資会社である。

その高橋英樹氏が代表取締役となって設立した「ミュゼ・メディア・HD株式会社」が、グローバルブリッジファンド合同会社が所有していた「ミュゼプラチナム」、「ミュゼコスメ」、「ミュゼショッピング」、「どこでもミュゼ」、「新生ミュゼプラチナム(メンズミュゼプラチナム)」、「ちょこっとミュゼ」の商標権と運営権を、新設分割で取得し、「ミュゼ」ブランド事業を継続すると発表している。

つまり、高橋英樹氏のグループ会社で「ミュゼプラチナム」や「ミュゼ」ブランドの商標権や運営権を新設分割という手法で都合よく操作しているのである。高橋英樹氏が、とことん「ミュゼ」ブランドを利用し、事業展開を進めようとしていることがよく分かる。フランチャイズや投資資金を集める事業では「ミュゼ」のブランドに大きな旨味があるのかもしれない。

高橋英樹氏は、自分が代表取締役を務めていたMPH株式会社が倒産し、資産がないので負債は一切払えないとしながら、新会社を設立し、その代表取締役となり、同じブランドの「ミュゼ」で事業を継続することができるというのは、あまりにも理不尽である。

※新設分割とは、会社の一部の事業をまとめ、新設会社に承継させるM&Aの手法。対象となる事業を柔軟に選別でき、権利義務の引継ぎが容易で、大きな資金を用意する必要がない。

 

 

「ミュゼプラチナム」の倒産が及ぼす業界への悪影響、迷惑極まりないが業界全体で対応策を検討する必要性

 

業界最大手だった脱毛専門サロンの「ミュゼプラチナム」が、最悪の形で倒産した。倒産は予想されていたが、実際に倒産となり、その負債総額や被害者数があまりにも多いため、今後、業界への悪影響がどのように現れるかが心配される。

倒産しても「ミュゼプラチナム」や「ミュゼ」というブランド名は使用され、新会社によって、フランチャイズの脱毛サロン、メンズ脱毛サロン、化粧品販売、モバイルなどの事業が行われる。そのため、いつまでも「ミュゼ」という名前が業界に残ることになる。

今後、消費者センターなどへの相談や苦情が増えれば、社会問題として行政が動く可能性がある。また、信販、クレジットといった金融機関の業界に対する警戒が広がり、取引に影響することも考えられる。

「ミュゼプラチナム」に関する一連の騒動と倒産は、エステティック業界にとって迷惑極まりない出来事である。しかし同時に、顧客や社会に安心してエステティックサービスを利用してもらうために、各サロンが対応策を講じるとともに、業界全体として行動していくことが求められる。

 

 

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