「アートメイク施術は医師法違反に該当!」美容所・エステサロンに改めて周知徹底2025年(令和7年)12月26日付 行政通達を検証
アートメイクの施術行為で医師法違反容疑回避は裁判で!
2025年(令和7年)12月26日付で、”アートメイクの施術行為が医師法違反に該当する”との通達(資料①)が出され、改めてアートメイクに関する行政による見解が示された。
この通達は、厚生労働省医政局医事課長、厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課長、経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課長の連名で出されており、管轄となる美容所、美容サロン、エステサロン等で行われている「アートメイク施術行為」は、医師法違反に該当するため、違反行為を行わないよう、周知徹底を呼び掛けている。
アートメイクに関する最近の通達は、令和5年7月3日、医政医発0703第5号(資料②)で出されている。この通達は、福島県保健福祉部長が厚生労働省医政局医事課長に対し、「医師の免許を有しない者が、針先に色素をつけながら皮膚の表面に墨等の色素を入れて、1眉を描く行為、2アイラインを描く行為は、医師法第17条違反と解してよいか」という照会に対して回答した通達である。
これに対し医事課長は、「ご照会のあった行為は、医師法第17条に違反するものと思料される。医療の一環として医師・看護師等の医療従事者が関与している実態があることから、医行為該当性が否定されるものではないと考えられる」と回答し、医行為であるという断定を行っていない。「思料する」「否定するものではないと考えられる」という文面からしても、それは明らかである。医事課長によるこの曖昧な見解は、令和2年9月16日、最高裁判所による「タトゥー施術行為は医行為ではない」という判決決定を踏まえたものと考えられる。
タトゥー行為とアートメイク行為は、いずれも「針先に色素をつけながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」であり、同一の行為とされている。同じ行為であるにもかかわらず、タトゥーは医師法違反ではなく、アートメイクだけが医師法違反とする厚生労働省医事課長の通達見解は、整合性を欠くことになる。
資料②:医師法第17条の解釈について(回答) ※3ページ目参照
そこで、アートメイクではなく、タトゥーと称して施術すれば医師法違反に当たらないと考えられ、「タトゥーメイク」「インクメイク」等の呼び方で、合法的に施術しようとする協会が設立された。それらの協会は、規定の教育訓練を受ければ、タトゥー施術によるメイクがサロンで実施できると喧伝し、美容師免許を有する人材の拡大を図ってきた。
ところが、続いて、令和7年8月15日、医政発0815第21号(資料③)が出される。この通達は、厚生労働省医政局長名で、各都道府県知事、保健所設置市長、特別区長宛に出されたもので、「美容医療に関する取扱いについて」と題され、自由診療で行われている美容医療について、違法事例等に適切に対処するため、医師法違反に当たる事例の法的解釈を整理して示したものである。その違法事例の中にアートメイクについて記載している部分があるため、注目したい。
この通達では、いわゆるアートメイクに関して、針先に色素を付けながら、皮膚表面に墨等の色素を入れる行為のうち、施術箇所に本来存在し得る人体の構造物(眉毛、毛髪、乳輪、乳頭等)を描く行為及び化粧に代替しうる装飾(アイライン、チーク、リップ等)を描く行為は、医行為に該当するものであるとしている。そのため、例えば「○○メイク」「〇〇タトゥー」といった「アートメイク」以外の名称で提供されたとしても、かかる行為は医行為に該当すると、断定している。
資料③:美容医療に関する取扱いについて ※1ページ目、3ページ目(3)ア 参照
令和5年7月3日付の医事課長の通達では、「医師法違反と思料する」「医師法違反を否定するものではないと考えられる」と曖昧だったものが、令和7年8月15日付の医政局長の通達では、具体的箇所(眉毛、毛髪、乳輪、乳頭等)や具体的装飾名(アイライン、チーク、リップ等)まで指摘し、医師法違反であると断定している。なぜそのような見解の変化が生じたのか、その理由は示されていない。
医療機関以外でのアートメイクは自粛が賢明
さて、令和7年12月26日付の最新通達に戻ってほしい。この通達は、令和7年8月15日付の医政局長による「アートメイク」に関する部分を、そのまま再度、同内容で通達したものである。しかも、厚生労働省医政局医事課長、厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課長、経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課長の連名である。
その通達は、美容師組合団体やエステティック業界団体にも送付され、アートメイク施術による医師法違反行為を行わないよう、傘下会員への周知徹底を要請する内容となった。
これといったアートメイクによる被害事例などが確認されていないにもかかわらず、昨年暮れにこのような通知が出された経緯は不明である。しかし、行政が、医療機関以外でのアートメイク施術を、警視庁及び消費者庁と協議した上で医師法違反と位置付けて通達している以上、美容関係者は施術を自粛する判断が賢明であるといえる。
最高裁で確定したタトゥーが合法で、アートメイクを違法とする疑問と違和感
「タトゥー施術は医師法違反ではない」という最高裁判所の決定が出ている。タトゥー施術は、「針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為」と定義されており、それはアートメイクと同一である。
ご承知のように、タトゥー施術は、胴体、腕、脚、手、足、頭、顔など、あらゆる部位に施されている。使用される色素も多様で、皮膚の深部まで色素が入れられる場合もある。その行為が最高裁判所で「医師法違反行為ではない」との判断が確定している。繰り返すが、タトゥー施術は、眉、目の周辺、頬、口などにも施されている。
令和7年12月26日付で出された最新の通達内容では、「施術箇所に本来存在しうる人体の構造物(眉毛、毛髪、乳輪・乳頭等)を描く行為及び化粧に代替しうる装飾(アイライン、チーク、リップ等)を描く行為のアートメイクは医師法違反に該当する」とされている。また、「〇〇メイク」「〇〇タトゥー」といった「アートメイク」以外の名称を用いた施術も医師法違反に当たるとされている。
本来であれば、アートメイクではなく、「タトゥー施術で、(眉毛、毛髪、乳輪、乳頭等を描く行為及び化粧に代替しうる装飾(アイライン、チーク、リップ等)を描く行為)が医師法違反に当たる」との通達が出されるべきである。
タトゥー施術に規制がなく、アートメイクのみを医師法違反とする通達は、あまりに整合性を欠いているといえる。
行政からの通達は、法的拘束力を持つ規制ではなく、あくまで行政見解である。地方自治体や保健所などにアートメイクに関する問い合わせがあった場合、その通達内容を基に対応が行われることになる。
アートメイク施術に関し、医師法違反容疑の適用が不当であると考えるのであれば、裁判によって争い、勝訴を得るという道が残されている。
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