ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中公子の『データで見る美容業界』‐3
【都道府県ランキング2025】“エステ意識が高い県”は福井県!ホームケア需要も上昇中
美容サロンを経営する上で、「地域ごとの美容意識の違い」を把握することは重要です。ホットペッパービューティーアカデミーでは、2025年8月に「【都道府県別】15~49 歳女性の美容サロン利用実態調査 2025」を発表しました。この調査では、都道府県別に女性たちの美容サロン(エステ・美容室・アイビューティーなど)への投資傾向を明らかにしています。
今回はなかでも“エステサロン利用”に注目し、アイビューティーや美容室との相関も交えながら、地域性に合わせたサロン戦略のヒントをお届けします。
文・作表 田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
≪目次≫
1.福井県はエステもアイも強い!「美容投資」意識が高い県
2.ホームケア購入率も福井県が全国1位、店販戦略がカギに
3.東京都は“こまめ通い”が定着
4.沖縄県は「1回で効果実感型」メニューが狙い目?
5.地域別美容意識を踏まえた、サロン戦略のすすめ
1. 福井県はエステもアイも強い!「美容投資」意識が高い県
福井県は、エステサロン(フェイシャル、ボディ/痩身)の利用率が全国3位(11.3%)と高水準で、さらに美容サロン全体への支出額では全国1位(3カ月で1万2,609円)など、美容全般に対する投資意識の高さが際立っています。
1年以内のエステサロン利用率ランキング(TOP5)
※全体(各サロン単一回答)
美容サロン全体にかける金額ランキング(TOP10)
※全体(実数回答、外れ値を除く)
加えて、アイビューティーサロンの利用率も20.3%で全国1位というデータからは、肌ケアだけではなく目元ケアへの関心も高いことが分かります。
1年以内のアイビューティーサロン利用率ランキング(TOP5)
※全体(各サロン単一回答)
背景には、福井県の女性有業率が77.7%で全国1位「(「令和4年就業構造基本調査結果」(総務省統計局))」より)であり、身だしなみや清潔感を重視する“外見ケア”のニーズが根付いている地域性が垣間見える結果になりました。
2. ホームケア購入率も福井県が全国1位、店販戦略がカギに
福井県では、施術だけでなくホームケアへの意識も非常に高いことがデータから読み取れます。美容室での店販購入率が38.2%で全国1位となっており、日々のケアにも積極的な姿勢が表れています。
【美容室】店販購入率ランキング(TOP5)
※美容室の過去1年利用者が対象
(単一回答、「ここ1年間で購入した」+「ここ1年間の購入はないが、過去に購入したことがある」の割合)
この傾向は他の美容サロンでも活かせるのではないでしょうか。
例えば
・美容液やパックなどのフェイシャルアイテム
・セルフケア用のボディケアアイテム
・まつげ美容液やアイブロウアイテム
といった“施術効果を持続させる商品”を自然に提案できる文化が整っているエリアとも期待されます。
3. 東京都は“こまめ通い”が定着
東京都は、美容室の年間利用総額(37,044円)と年間利用回数(4.37回)の両方で全国1位に。これは、カラーやトリートメントなどの“定期メンテナンス型”メニューが好まれていることも影響しています。
【美容室】年間利用総額ランキング(TOP10)
※美容室の過去1年利用者が対象
1回あたりの利用金額×年間利用回数(いずれも実数回答、外れ値を除く)
【美容室】年間利用回数ランキング(TOP5)
※美容室の過去1年利用者が対象(実数回答、外れ値を除く)
この「こまめ通い」スタイルは、エステにおいても、「時短フェイシャル」「月イチの肌ケアメニュー」など、ライトで継続しやすいメニューがフィットする傾向がありそうです。例えば、都度払いを選べるようにする、サブスクリプション制の提供などで、都市部の顧客ニーズに応えやすくなるとも考えます。
4. 沖縄県は「1回で効果実感型」メニューが狙い目?
沖縄県では、美容室の1回あたりの利用金額が9,478円で全国1位、サロン滞在時間も101分と全国最長という結果が出ています。これは、複数メニューを1回で受ける“集中型”の利用が浸透していると考えられます。
【美容室】1回あたりの利用金額ランキング(TOP10)
※美容室の過去1年利用者が対象(実数回答、外れ値を除く)
【美容室】サロン滞在時間ランキング(TOP5)
※美容室の過去1年利用者が対象(実数回答、外れ値を除く)
エステサロンにおいても、「美肌+トーンアップ+デコルテのフルケアコース」「ハンドトリートメントとマシン施術を組み合わせた高付加価値メニュー」など、「1回の来店で満足感が得られる施術」が好まれる可能性が高いのかもしれません。
5. 地域別美容意識を踏まえた、サロン戦略のすすめ
今回の調査結果からは、地域によって異なる「美容への向き合い方」が明確に見えてきました。今回の調査で取り上げたエリアの美容サロン利用の特徴と、サロン戦略のヒントをまとめてみましょう。
自サロンの地域特性を正しく捉えることで、集客やリピーター化、単価アップにつながる戦略立案が可能になります。
まずはエリアの特性を知ることから、次の一手を見つけていきましょう。
【データ出典】
ホットペッパービューティーアカデミー
「【都道府県別】15~49歳女性の美容サロン利用実態調査 2025」
調査発表日:2025年8月21日(木)
調査期間:2025年2月28日(金)~3月4日(火)
調査対象:全国の15~49歳の女性(回収サンプル数1万8,916)
出典URL: https://hba.beauty.hotpepper.jp/search/census/2025-pre/68917/
<寄稿>
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
外資系コンサルティングファームを経て、リクルート入社。2012年よりホットペッパービューティーのマーケティング・企画領域に携わり、現在はホットペッパービューティーアカデミー研究員として、美容に関する消費者行動の調査・分析、業界への提言を行っている。
これまでに発表してきた美容業界の調査は200本以上。数字に裏打ちされた洞察力と、現場やメディアでもわかりやすく語れる伝える力に定評がある。業界誌・一般誌・テレビなどメディア取材多数。セミナー登壇や研修講師としても活動中。
プライベートでは小学生2人の母。学校PTAの活動にも全力で取り組み中(2024年度、2025年度 PTA会長)。
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