草野由美子の 『エステサロン お役立ちコラム』

なぜあのサロンは選ばれ続けるの?——エステティックカウンセリングで築く、信頼構築の7つのステップ

2026.08.05 New

 

  草野由美子の 『エステサロン お役立ちコラム』‐9  

 

なぜあのサロンは選ばれ続けるの?——エステティックカウンセリングで築く、信頼構築の7つのステップ

 

適切な質問からプロとしてのコンサルティングまで、信頼を積み上げるプロセス

「何回かリピートしてくださったお客様が、ある日ピタッと来店されなくなってしまう」

技術にも接客にも、これといった問題はないはず。それなのに、なぜかお客様が離れていってしまう。エステティックサロンの経営でよくあるお悩みのひとつではないでしょうか。

実はこの現象の裏側には、お客様ご自身もまだ気づいていない「深層の欲求」が隠れていることが多いんです。

 

「三面美容(外面・内面・精神面)」の視点

外見の美しさ(外面)はもちろん、心身の内側の健やかさ(内面)、そして満たされた心の在り方(精神面)まで含めて、はじめて本当の美しさが育まれるという考え方は、エステティックサロンを経営していく上で、必ず理解しておきたい大切な視点です。

お客様が言葉にされる表面的なお悩み「肌をきれいにしたい」「痩せたい」などの奥には、内面・精神面に関わる、もっと大きな想い——例えば「自分を大切にしたい」「誰かに認めてもらいたい」といった深層の欲求——が眠っていることがほとんどです。

この深層の欲求に寄り添えるかどうかが、お客様との信頼関係、そしてリピートをし続けていただけるかどうかを大きく左右します。

 

その深層の欲求を引き出す土台となるのが、次の「5つの在り方」です。

目の前の人に、
①興味・関心を持つ
②焦点を合わせる
③好きになる
④良いところ探しをする
⑤陰ぼめをする(本人のいないところで良いところを話すこと)

※詳しくは前回のコラムをご覧ください♪

 

この在り方が整ったら、いよいよ実践編です。

カウンセリングの具体的なステップを、
①適切な質問
②傾聴(けいちょう)
③受容
④共感(きょうかん)
⑤お客様の自己浄化(カタルシス)
⑥お客様の気付き
⑦プロとしてのコンサルティング

の順にご紹介していきます。

 

①適切な質問
カウンセリングは「たくさん質問して情報を集めること」だと思われがちですが、質問攻めにしてしまうとお客様は「尋問されている」ように感じ、心を閉ざしてしまいます。大切なのは質問の数ではなく「質」です。表面的なお悩みの先にある「深層の欲求」に自然と近づいていける質問を、会話の中で少しずつ重ねていくことがポイントです。

 

②傾聴(けいちょう)
単に相槌を打つことではなく、お客様の言葉の奥にある感情や背景まで丁寧に観察しながら聴くことです。頭の中で次の予約や売上のことを考えながら聴いていると、それは驚くほど相手に伝わってしまいます。目の前のお客様だけに意識を向けて聴くことで、お客様が話す内容の深さが変わってきます。

 

③受容
お話をどれだけ丁寧に聴いても、それを否定せずにまるごと受け止めなければカウンセリングは深まりません。ただし、「受容」という表現は、施術者側が勘違いしてしまうと「すべてを受け入れなければいけない」「理解してあげないといけない」と、逆にストレスを抱えてしまうプロセスです。ここでは「受容」というより、お客様の心の底にある想いを安心して吐き出していただくプロセスだと理解しましょう。お客様の想いが100%理解できなかったとしても、「そうなんですね」と好感を持って対話をすることで、お客様は安心します。

ここでよくある失敗が、お客様のお話を最後まで「吐き出させる」前に、エステティシャンがおすすめのケアや化粧品の話しを始めてしまうこと。まずはお客様の想いを安心して吐き出していただくための「受容の姿勢」を貫くことが大切です。

 

④共感(きょうかん)
共感できる体験があれば「私もそうだったんですよ」と率直に伝えることで、お客様は「わかってもらえた」と安心します。共感できる体験がなければ、サロンに来店されているお客様には「同じようなお悩みをお持ちの方が多いですよ」など、あくまでも共感の姿勢での対話を心がけます。そうすると深層の欲求のヒントが見つけやすくなります。

 

⑤お客様の自己浄化(カタルシス)
①~④のプロセスを進める中で、お客様の中で少しずつ変化が起こり始めます。それが「自己浄化」です。日常のストレスや不安といったネガティブな感情を言葉にして表現することで、自身の気付きにつながり、安心感が得られるという「心の浄化作用」のことです。

エステティシャンが適切な質問を投げかけることで、お客様自身が思考を整理し、感情や葛藤を言葉にしていきます。この工程を焦らず丁寧に進めることで、信頼関係がぐっと深まります。

 

⑥お客様の気付き
自己浄化が進むと、お客様の中に「気付き」が生まれます。ここで大切なのは、あなたが内容を要約して「言語化」して伝えること。「今までそのような想いの中で努力されてきたんですね」とお伝えすることで、お客様自身でも気付いていなかった深層の欲求や、「もっと早く相談すれば良かった」といった感情に至ります。
お客様がまだ言葉にできていない想いを、エステティシャンが代わりに言語化してお返しすることで、信頼関係は一気に深まっていきます。

 

①〜⑥のカウンセリングのプロセスを経て、いよいよ最後のステップ、⑦プロとしてのコンサルティングです。

 

⑦プロとしてのコンサルティング
ここで、総務省の職業分類にある「エステティック業」の定義を見てみましょう。
〈手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整える等の指導又は施術を行う事業をいう〉

この一文、実は書かれている順番にも意味があります。
「指導又は施術」—— 「指導」 が「施術」より先に書かれていますよね。

つまりエステティシャンが行うコンサルティングとは、①〜⑥の後に行う

・判断 ー お悩みの原因となる生活習慣の見極め
・助言 ー 適切なケアの提案
・指導 ー お客様の生活習慣の中でできることから始める

のことです。

大切なのは、サロン側の「売りたい」の一方的な説明にならないこと。効果の過大表現や写真の乱用は、お客様に「売り込まれている」と感じさせます。エステティシャンは、お客様にとって美と健康の「かかりつけ医」のような存在です。だからこそ、お一人おひとりに寄り添った説明を心がけましょう。

 

「何回かリピートしてくださったお客様が、ある日ピタッと来店されなくなってしまう」現象の原因のひとつとして、⑤⑥のプロセスを飛ばしてしまっていることが多く見受けられます。

④共感の時点で、エステティシャンがおすすめの化粧品やケアの話を始めてしまうと、お客様の心理でいちばん重要な「自分自身の気付き」の工程が抜け落ちてしまいます。

この積み重ねが、毎回の来店時に繰り返されることで、「ピタッと来店されなくなる」という形で表れてしまうのです。

 

①〜⑦は、いずれも特別な技術というより日々の心がけの積み重ねです。
三面美容の「外面」のケアだけではなく、「内面」「精神面」に寄り添ってこそ、お客様は「また来たい」「あなたに話を聴いてもらいたい」と感じます。

 

技術力の高さだけでは、お客様の心までは満たせません。今回ご紹介したカウンセリングのプロセスは、お客様の内面・精神面を支えるエステティシャンの「もうひとつの技術」です。

このカウンセリングの技術をカウンセリング時だけではなく、すべての接客に取り入れていくことで、お客様からの信頼が高まります。

 

サロンが選ばれ続ける理由は、特別なメニューや割引ではなく、こうした日々の小さな積み重ねの中にあるのですね。
お客様自身も気付いていない想いを見極め、言葉にして寄り添い続けること。それこそが、リピートされ続けるサロンと、そうでないサロンを分ける違いなのです。

 

次号は、マーケティングの視点からこの現象をさらに掘り下げていきますね。次号もお楽しみに♪

 

 

草野由美子
ゆうプランド株式会社 代表取締役
JESMA日本エステティックサロン経営学院 学院長
日本エステティック機構
エステティックサロン認証促進アドバイザー
CIDESCOインターナショナルエステティシャン
日本エステティック業協会 教育委員会 委員

 

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