草野由美子の 『エステサロン お役立ちコラム』

リピートされるサロンに共通する「エステティシャンマインド®」とは?

2026.04.06 New

 

  草野由美子の 『エステサロン お役立ちコラム』‐5  

 

リピートされるサロンに共通する「エステティシャンマインド®」とは?

 

近年、お客様のサロン選びは、以前にも増してシビアになっています。SNSや口コミの影響もあり、「なんとなく良さそう」では選ばれにくい時代です。技術力が高い。価格が安い。それだけでは、“選ばれ続ける理由”にはなりにくいものです。では、「また来たい」と思っていただけるサロンと、そうでないサロン。その違いはどこにあるのでしょうか。私はやはり、“接客の質”にあると感じています。

 

私たちが消費者として、わざわざ言語化して理解しているわけではありませんが、「なんとなく」心地が良い、悪いといった空気感を感じ取っています。サロンのインテリア、清潔感、香りなど、五感にとって心地良いと感じる空間に加え、人としての安心感や信頼感。まだそこにいない、まだ見ぬお客様のために心を尽くして準備をする。日本が世界に誇る「おもてなし」、ホスピタリティマインドですね。

 

ただ―高額なサービスを提供するエステティックの場合は、それだけでは少し足りません。お客様の状態をもう一歩深く理解し、寄り添う視点。それが、私が大切にしている「エステティシャンマインド®」です。

 

 

「苦手なお客様」にどのように接していますか?

 

例えば、言葉遣いや態度がきつく感じるお客様。「ちょっと怖いな」と感じることはありませんか?いくらサービス業とはいえ、私たちも人ですから、無意識に「近寄りたくないな」と距離を取りたくなるのも自然なことです。でもここで、そのまま距離を取ってしまうのか。それとも、丁寧に向き合うのか。ここに、大きな差が生まれます。

 

接客を学んでいる人は、避けるのではなく、まず「観察」をします。何を観察するのかというと、表情や声のトーン、ちょっとした仕草に意識を向けてみます。ホスピタリティ(思いやりの心、親切心)をもって関わろうとする意識です。

 

一方で、心の中で「少し怖い」という感情のコントロールができていないと…お客様の表情につられて、自分の表情もこわばってしまいます。身体も緊張し、声や所作もどこか硬くなる。その空気は、思っている以上にお客様に伝わっています。

 

こうした小さな違和感が重なると、お客様は「なんとなく居心地が悪い」と感じてしまうのです。そして多くの場合、お客様は何も言わずに来られなくなります。お客様からは、クレームほどではないものの、「2度目はない」という評価が下されてしまいます。それがいわゆる「サイレントカスタマー」です。このように、リピートが伸びない原因は、サロン側では「気づきにくい」このような点にもあるのです。

 

 

エステティシャンマインドとは何か?

 

では、エステティシャンはお客様とどのように向き合えばいいのでしょうか。日本のエステティックは、もともと欧州のソワンの流れを受けています。ソワンとは、「心遣い」「手当て」「気を配る」という意味です。エステティックは「美意識」、つまり本来は、心と身体の両方に働きかけるものです。私はこの在り方を、「エステティシャンマインド®」と呼んでいます。

 

エステティシャンマインド®とは、ホスピタリティマインドに加えて、エステティシャンとしての専門的なスキルが加わったものです。お客様の表情や呼吸、言葉遣いや立ち居振る舞いから、その方の生活環境やストレス状態まで読み取る力。また、お客様の表面的なお悩みから深層心理を見極め、それをお客様に分かりやすく伝え、プロとして解決策を示す提案力。そして、常にお客様の最大の応援者(サポーター)であること。

 

つまり私たちエステティシャンの仕事は、単に施術を提供することではありません。お客様が健やかにご機嫌に、毎日を過ごせるように、心と体のバランスを“整えていくお仕事”なのです。

 

 

観察するだけで、見え方が変わる

 

皆さんは、こんな視点を持てていますか?

 

お客様がドアを開けた瞬間から、

・ドアを開ける勢いや歩き方はどうか
・顔色や表情はどうか
・呼吸が浅くなっていないか
・姿勢がつらそうではないか
・ストレスを抱えていそうか
・話し方のトーンはどうか  など

 

このように見ていくと、「横柄に見えているお客様」も、ただ「余裕がない状態のお客様」に見えてきます。見え方が変わると、自然と言葉も変わります。

初めてのお客様であれば、「少し緊張されていますか?」など、常連のお客様であれば、「今日はいつもよりお疲れのようですね」というお声がけが自然にできるようになっていきます。そして、このような一言が、お客様の心をほどくきっかけになります。

 

 

空気は“こちら側”がつくる

 

接客業の知識として知っておきたい効果が、「ミラーリング効果」です。人は無意識に、相手の状態に影響されます。こちらが緊張すれば、お客様も緊張する。こちらが落ち着いていれば、お客様も安心する。つまり、空気は“施術者側”がつくっているのです。エステティシャンの柔らかい表情や落ち着いた声、丁寧な所作や立ち居振る舞い…それだけで、お客様の心は緩み始めます。「また来たい」は、技術だけでは生まれません。

 

技術力はあるのにリピートされない。これは、特に珍しい話ではありません。逆に、「なんだか安心できた」「ここに来ると落ち着く」「ここに来た日は周りの人にやさしくなれる」…そのように感じてもらえるサロンは、自然と選ばれ続けます。なぜかというと、理由はシンプルです。それは、人は“感情の記憶”で動くからです。

 

 

「また来たい」は、技術だけでは生まれない

 

今の時代、求められているのは単なる美容サービスではありません。結果や価格以上に、「どれだけ快適で心地良い体験だったか」が問われています。

 

お客様のお悩みについても、表面的な状態だけでなく、その奥にある深層のお悩みを見極め、お客様のなりたい自分像まで見ていくこと。そして、「ここに来ると整う」「ここに来ると安心する」そんな場所になること。そのために必要なのが、エステティシャンマインド®です。これが実践できるようになったとき、サロンの価値は一段引き上がります。

 

ぜひ一度、ご自身の接客を振り返ってみてください。「どう見られているか」ではなく、「どう感じさせているか」という視点で。この視点が持てたとき、接客は単なる“作業”ではなく、“価値”へと変わります。そしてその積み重ねが、お客様から選ばれ続けるサロンをつくっていくのです。

 

 

 

草野由美子
ゆうプランド株式会社 代表取締役
JESMA日本エステティックサロン経営学院 学院長
日本エステティック機構
エステティックサロン認証促進アドバイザー
CIDESCOインターナショナルエステティシャン
日本エステティック業協会 教育委員会 委員

 

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