草野由美子の 『エステサロン お役立ちコラム』

なぜあのサロンは、お客様に「また来たい」と思われ続けるのか?

2026.09.24 New

 

  草野由美子の 『エステサロン お役立ちコラム』‐10  

 

なぜあのサロンは、お客様に「また来たい」と思われ続けるのか?

 

リピート離脱を防ぐ、感情に振り回されない4つの仕組み

 

繁盛しているサロンと、顧客化に苦戦しているサロン。この差を分けているのは、実は「リピート離脱」への向き合い方です。何度もご来店くださっていたお客様が、ある日を境にパタッと来店されなくなる――この現象が起きたときにどう動くかで、その後の経営は大きく変わっていきます。

今回は、リピート離脱がなぜ起こるのか、そして繁盛サロンと苦戦サロンを分けるその違いを、カウンセリングと感情のしくみの両面からお伝えします。

 

「また来たい」と思われるカウンセリングとは

カウンセリングとコンサルティングを意識的に分けて考えると、営業や販売は、

1.お客様のお悩みや、なりたい自分像を傾聴・共感して、
2.お客様のお悩みを解消し、なりたい自分になるための方法をプロとしてご提案する

ことなのですね。

 

これは、エステティックサロンに限らず、自動車や保険など、売上の成果を上げている営業・販売職の方がおこなっている「提案営業」や「カウンセリング販売」と言われるものです。「最新の製品だから」「今がお得なチャンス」と一方的にお勧めするのではなく、現状の課題や予算などを丁寧にヒアリングし、その解決に役立つ商品やサービスをご案内する。営業で成果を上げている方の多くは、話し上手というより「聴き上手」です。

ぜひ、自分がお客様の立場になったときに、営業や販売職の方の対応をじっくり観察してみてください。丁寧に話を聴いてもらえた後の、ご自身の感情の動きに気づくことがあると思います。

 

セールスとマーケティングの違い

今回は、「機器や化粧品の施術効果を強く打ち出す広告」で集客をしていると、サロン運営はどうなっていくのかを、消費行動のタイプ別に説明します。

「セールス」を直訳すると営業・販売のことですが、意味合いとしては「この商品を〇個販売しよう」「売上目標〇〇万円」など、売るための努力をするイメージです。

一方「マーケティング」とは、「自社のターゲット層の気持ちやニーズを理解しよう」「商品やサービスをお客様に合わせて提供しよう」という考え方で、売れる仕組みをつくることを指します。

このマーケティングを考えるときに役立つのが、消費者の動向を分析した「イノベーター理論」です。人の消費行動を、次の5つのタイプに分けています。

・イノベーター層(2.5%):新しいもの好きで好奇心旺盛、オタク気質
・アーリーアダプター層(13.5%):インフルエンサー気質で、具体的なメリットを求める実用重視派
・アーリーマジョリティ層(34%):流行に乗り遅れたくないが、比較的慎重
・レイトマジョリティ層(34%):新しいものに懐疑的で、失敗を避けたい保守派
・ラガード層(16%):新しいものへの関心が薄く、社会的に定着してから受け入れる層

 

エステティックサロンの経営を安定させるには、ずっと通い続けてくださる生涯顧客の獲得が欠かせません。ところが「施術効果を強く打ち出す広告」に反応しやすいのは、イノベーター層やアーリーアダプター層が中心です。この層は新しいものが好きで、次々と新しい情報に関心が移っていくため、突然ピタッと来店されなくなることも珍しくありません。**顧客化が難しい層でもあるため、**そこに偏った集客をしていると、常に新規集客に追われ続けることになってしまいます。

2026年の今は、SNS広告やAIレコメンドによって「今だけ・あなただけ」の刺激的な訴求がますます届きやすくなり、この傾向は強まっています。だからこそ、施術効果を強く打ち出す広告だけに頼るのではなく、比較的慎重で、気に入ったものを継続するアーリーマジョリティ層や、新しいものに懐疑的なレイトマジョリティ層をしっかりと獲得していくことが、生涯顧客の獲得には欠かせません。

 

繁盛サロンと苦戦サロンの、たった一つの違い

ここまでお伝えしてきた、お客様がピタッと来店されなくなる原因と対策をまとめると、次の4点になります。

・目の前のお客様に興味・関心を持つ
・カウンセリング力(傾聴・共感の姿勢)を高める
・プロとしてのコンサルティング力を高める
・効果・結果を強く打ち出す広告を見直す

もちろん、サロン側だけが原因とは限りません。「職場が近くて通いやすかったのに、転勤で通いにくくなった」など、お客様側の事情もあります。

ただ、繁盛しているサロンと、顧客化に苦戦しているサロンには、一つ大きな違いがあります。それは、「最近来店されていないな」と思ったときに、すぐに直接連絡できるかどうか、です。

サロンに勤務するエステティシャンなら、店長から「〇〇様にお電話して、ご様子をうかがってください」と指示されれば、素直に電話しますよね。

しかし、ひとりでサロンを経営するオーナーエステティシャンは、この「すぐに直接連絡する」がなかなかできず、「なぜだろう」ともやもやしたまま時間だけが過ぎていく――これが、顧客化に苦戦するオーナーエステティシャン「あるある」なんです。

最近では、公式LINEやメルマガでの一斉配信には抵抗がなくても、個々のお客様との一対一のやり取りには踏み出せない、という声をよくいただきます。

便利なツールが増えたぶん、かえって「システムに任せておけば大丈夫」と、一人ひとりへの直接連絡を後回しにしてしまいやすい面もあるかもしれません。

一方、繁盛しているサロンは、電話に限らずLINEなどで、気づいたその場ですぐにお客様へ直接連絡します。「最近来店されていないな」と思ったら、すぐに直接連絡する。もやもやしないので、すぐに次の業務に取りかかれる。次の業務に取りかかれるので、仕事がはかどる。仕事がはかどるので、さまざまな成果につながりやすい。

結果として繁盛店になっていく、という好循環です。

 

「人見知りだから」ではありません

顧客化に苦戦するオーナー様には、「実は私、人見知りなんです」とおっしゃる方がとても多いです。そして、その性格を直したいと思いながらも、もやもやし続けてしまう方も少なくありません。

でも、これは性格の問題ではありません。ご安心ください。何事も、原因がわかれば心の中の不安は解消されるもので、それだけで8割は解決したようなものなのです。

これは性格によるものではなく、感情のコントロールができていないだけなんですね。エステティシャンとしての視点で解説すると、ある意味きちんとホメオスタシス(恒常性維持機能)が働いている結果とも言えます。

ホメオスタシスは、命を守るために一定の状態を維持しようとする力です。本能の欲求や感情をつかさどる大脳辺縁系の働きや大脳皮質の働きを、「感情のコントロール」という視点で理解することで、行動を変え、成果を出せる自分に近づいていくことができます。

「すぐに直接連絡する」を難しく感じるのは、性格ではなく、脳のしくみ上ごく自然な反応です。人は未知の行動(=いつもと違う一歩)に対して、無意識に「今のままで安全」という現状維持を選ぼうとします。これがホメオスタシスの働きです。つまり「連絡しなきゃ、でも怖い」ともやもやしているとき、あなたの脳は正常に機能しているとも言えます。問題は性格ではなく、その反応にどう向き合うかの「仕組み」がないことなのです。

 

今日からできる、小さな仕組み化

感情に振り回されずに行動するコツは、「その場で決める」をやめて、あらかじめルール化しておくことです。

・来店周期の目安を決めておく:「通常〇日〜〇日ペースの方が、〇日を超えて予約がなければ、その日のうちに一言だけご連絡する」
・連絡の型を先に用意しておく:「お元気にされていますか?」「お肌の調子はいかがですか?」など、迷わず送れる定型文を数パターン持っておく
・連絡手段を決めておく:電話が苦手なら、まずはLINEやメッセージからで十分。大切なのは「一斉配信」ではなく「あなた宛て」と伝わる一言です
・タイミングを固定する:「毎週金曜の午前中に、来店間隔が空いているお客様リストを見る」など、業務フローに組み込んでしまう

現在は、予約管理システムやCRM(Customer Relationship Management)で「〇日来店がないお客様」を自動でリストアップできる環境も整ってきました。便利なツールは、「気づくきっかけ」をつくってくれますが、そこから先の「すぐに、直接、一言送る」という最後の一歩は、仕組みとルールがあってこそ、迷わず踏み出せるようになるのです。

「すぐに動けるサロン」と「もやもやが続くサロン」の差は、才能でも性格でもなく、こうした小さな仕組みの有無です。まずは一つだけでもルールを決めて、次にお客様の来店間隔が気になったときに試してみてくださいね。

 

次号からは、目標を達成できる人とできない人の違いを、大脳生理学の視点から解説していきます。

次号もお楽しみに♪

 

草野由美子
ゆうプランド株式会社 代表取締役
JESMA日本エステティックサロン経営学院 学院長
日本エステティック機構
エステティックサロン認証促進アドバイザー
CIDESCOインターナショナルエステティシャン
日本エステティック業協会 教育委員会 委員

 

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